
成長痛は医学的に定義づけられたものではありません。
定義が曖昧なため、きちんと病名が付いたものまで成長痛に分類されている場合もあって、とにかく様々な病態が成長痛と呼ばれています。
ここでは成長痛とその周辺の疾患も含む、痛みへの対処方法を紹介したいと思います。
成長痛を年代別に分類する

まずは成長痛を整理していきたいと思います。
ここでは「原因不明の痛み」と「骨端症のように成長過程で生じる痛み」に分けて考えます。
- 痛がる箇所は膝から下が特に多い。
- 患部が腫れていたり熱を持ったりしているわけでもなく、検査しても異常が見られない。
- 痛みは長く続かない。夜痛がって、翌朝ケロッとしていることも
このような症状が俗に言う「原因不明の痛み」と呼ばれるものの特徴です。
そしてこれは比較的低年齢の子供に起きることが多いため、「低年齢の成長痛」とされています。
そしてもう一方、「骨端症のように成長過程で生じる痛み」ですが、こちらは原因もハッキリしていて、骨が成長していくとそれにともなって筋肉も伸びていくのですが、そうすることで発達段階特有の成長軟骨が刺激されて痛みが出るということです。
スポーツなどの刺激によっても痛みが起こりやすいので、運動をしている子供が訴えることが多いということです。こちらは第二次性徴期以降の子供に起きやすいため、「小学校高学年以上の成長痛」とされています。
この2つは、原因も違うことから対処法も違ってくるため、分けて考えなくてはいけません。
低年齢の成長痛への対処方法

まずは低年齢の子供が訴える『原因不明の痛み』ですが、最初にやることは医療機関を受診することです。これは成長痛以外の疾患を除外するためにも必ず専門のドクターに診てもらいましょう。
この低年齢の成長痛について現在は、疲労が蓄積したり、精神的なものなのではないかという推定がなされています。したがって考えられる対処方法は以下のようになります。
対処方法① 休ませる
まずは子供の疲労を取ってあげることが重要です。子供はいつでも元気な印象が強く、疲れを知らないと思いがちですが、まだまだ体は発達段階です。
幼稚園や小学校で加減すること無く走り回ったり、遊んだりしていることから結構な運動量をこなしているのです。まずは休養を与えることが一番の薬になると思われます。
対処方法② さすってあげる
原因不明の痛みは精神的な不安定さから来ていることもあるかもしれません。低年齢の子供だとまだまだ上手く自分の思いを言葉にすることは難しい場合が多いです。
どんな風に痛むのか、どこが痛むのか、上手く伝えられず不安になったり混乱することもあると思います。そんなときはやはり、安心させてあげること。これが最も重要になってきます。
痛がる箇所をさすってあげる、泣き叫ぶ子供を抱きしめてあげるなど、自分の大好きなお父さん、お母さんがそうしてくれることによって精神的にも安定し、痛みが和らぐこともあると言われます。
原因不明ではありますが、低年齢の子供達にはやはり大人が見て、関わってあげることが重要になってきます。
小学校高学年以上の成長痛

これに関してもまず、医療機関を受診して適切な検査や処置をしてもらうことが重要です。
成長痛以外の可能性を除外してもらいましょう。その上での対処方法は、以下のようなものになるかと思います。
- 安静にする
- アイシング、もしくは温める
- 予防としてのストレッチ
ここに挙げたものが全てではありませんが、多くの場合に当てはまるのではないでしょうか。
また医療機関で処方されたり、薬局で購入できる湿布などの外用剤を使うという場合もあるかもしれません。外用剤と言えば湿布などを思い浮かべるかもしれませんが、多くの炎症を抑える外用剤は『小児での安全性は確立していない』という文言が添付文書に書かれています。
不安な場合は医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
成長を喜ぶために

子供がどこか痛がっていると、なんとかしてやりたいのが親心。
もちろん子供やその痛みと向き合っていくことは大切ですし、適切な対応をしていかなければなりません。ただ、子供の成長過程で起きる痛みであれば、喜ばしいことでもあるとは考えられないでしょうか。
子供の身体的成長という面で親が出来ることは限られています。
睡眠など基本的な生活習慣を身につける環境を与えることや、食事などで栄養を取り入れてもらうこと。子供の健やかな成長を願って、出来ることをやっていきましょう。