
子供の成長度合いで誰から見てもわかりやすい指標が身長です。「あの子は大きいね。」などと言いながら、つい我が子と比べてみたり。
我が子に大きく育って欲しい、出来るだけ身長を伸ばすにはどうすればいいのか。というのは多くの親御さんが持つ悩みの一つだと思います。
因みに身長に好影響を与えるものは沢山あります。
- 食事量と栄養バランス
- 良質な睡眠
- 適度な運動
などが挙げられることが多いと思います。
では逆に「身長を伸ばす妨げになるもの」はないのでしょうか?
ここでは身長を伸ばすためにやってはいけないと言われている、もしくは迷信のようなものについて生理学的要因や環境要因を含めて検証してみたいと思います。
身長を伸ばすとは骨を伸ばすこと

まず身長はどうやって伸びていくのでしょうか。
それは骨と骨を連結している部分の軟骨、「骨端線(こつたんせん)」と呼ばれる部分が成長する結果と言われています。
その骨端線が子供の頃は柔らかく伸びやすい、しかも成長期と言われるころには「成長ホルモン」が分泌され、そのホルモンが骨の生育に好影響を与えるので、相乗的にどんどん身長が伸びていきます。
しかし大人になると、骨端線は固く伸びなくなってくるので、身長の伸びは止まってしまうというわけです。
最初に挙げた、身長に好影響を与えるものから考えると、
- 【食事量と栄養バランス】は、骨を強くしたり大きくする役割のあるタンパク質やカルシウムをしっかり取ることは重要
- 【良質な睡眠】は、成長ホルモンが大量に分泌されるのは『深い眠りについている時』とのことでとても重要
- 【適度な運動】は、運動をし、筋肉をつけることによっても成長ホルモンは分泌されるようですのでとても重要
ということになるわけですね。
ではその一方で、身長を伸ばすことへの悪影響というのはどんなものがあるか考えてみたいと思います。
身長を伸ばすために絶対やってはいけないこと

これに関しては様々な意見がありますが、ここでは絶対にやってはいけないことを書いてみます。
喫煙
喫煙は身体にとって百害あって一利なしです。
あってはならないことですが、喫煙によりカルシウムが吸収されにくくなって成長ホルモンの分泌が減ってしまいます。そもそも未成年の喫煙は法律で禁止されている行為ですので、絶対にやってはいけません。
身長に好影響を与えることと真逆のこと
これも当たり前のことですが、睡眠不足や運動不足は成長ホルモンの分泌を妨げますし、栄養バランスの偏った食事も良くありません。
骨の成長にはミネラルやビタミンが欠かせませんが、骨を大きくするための指令を出すのは脳なので、脳が活発に働くような栄養素もバランス良く摂取して行かないと身体は大きくならないのです。
その他にもタンパク質、アミノ酸など栄養素はバランスが大切なので、不足しがちなものはサプリなどで補うというのも一つの手かもしれません。
但し、サプリメントと言っても中身の成分は商品毎にかなり違ってくるので、価格や宣伝に惑わされず、安全性や配合成分をしっかり比較されることをお勧めします。
中には定期購入でいきなり半額になったりする「どこに本当の価値があるのか分からない?」ような商品もあるので注意したいところですね!
身長を伸ばすためにこれはやっていいの?

ここまでは身長を伸ばすために『絶対やったほうがいいこと』と『絶対やってはいけないこと』を記してきましたが、巷では身長に関する様々な噂、中には迷信じみたものなどがあります。
現在、我が子の身長が伸びないとお悩みの親御さんで『アレが原因だったのかな?』『これが悪かったのかも…?』と後悔している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ということで、実際、巷の噂はどうなのかを検証してみたいと思います。
筋肉をつけると身長が伸びない?
まことしやかに噂されるこちらの説。
私自身も子供の頃は信じていて、幼少の頃から野球をやっていたにも関わらず、ほとんど筋力トレーニングをやりませんでした。
ですが現在、いわゆる一般的な筋力トレーニングで身長が伸びなくなるという裏付けになるデータは出ていません。ただし、ここで『一般的な筋力トレーニング』と言ったことには理由があります。
身長を伸ばすためには骨、特に『骨端線』が伸びていくことが重要だということは、最初に記しているとおりですが、この骨端線に負荷を与える、つまり骨を傷つけてしまうような過度なトレーニングは身長を伸ばすことに悪影響になる可能性があります。
具体的に言えば、うさぎ跳びなどの「膝を深く曲げて過度な負荷をかける」といったトレーニングや、ボディビルのような「過度な筋力トレーニング」は避けるべきかもしれません。
ですが、一般的な適度なトレーニングで筋肉が付いた場合には、身長の伸びには影響が無いと考えられています。
よく考えれば当然ですよね。骨の伸びる力が筋肉より弱くて邪魔されるなんてことは考えらませんので。
体操競技をしていると身長が伸びない?
これも先程の筋肉を付けると…という部分にも関係してきますが、オリンピックに出てくる筋骨隆々の体操選手が総じて高身長ではないというところから出てきたものです。
結論から言うと、『体操競技によって身長が伸びないというのは多少なりともあり得る』ということです。
前述の通り、『一般的なトレーニング』は身長に影響を与えないが、『過度なトレーニング』は悪影響になる可能性があります。体操競技はこの『過度なトレーニング』に当たってしまうのです。
競技では踏み切りや回転からの着地など多くの場面で、普段ではあり得ないほどの負荷が身体にかかっています。
ただしこれに関しても現在は負荷がかかりにくい用具の研究などがなされていますし、今後影響は少なくなっていくと思われます。
そもそもの話で言うと、体操競技の性質が回転などの動きが多いことから、低身長のほうが有利ということもあります。
ですから、現在オリンピックに出るような一流選手に身長の低い人が多いのは、そこまでの域に達する過程で「身長が伸びてしまった人は淘汰された」という現実もあると思います。
しかも、体操競技にとって身長が低いことが有利なのであれば、本気で体操に打ち込む人にとって「身長を伸ばす」というのは選択肢から外れてくるはずです。
こういったことから、体操競技と身長の関係については『可能性として身長を伸ばすことに影響はあるかもしれないが、多くは一流選手になる過程の話である』と言えますね。
炭酸飲料が悪い?牛乳が良い?
これもよく言われる、特定の飲食物の良し悪し。
まず炭酸飲料についてですが、よく言われるのがコーラです。
骨を溶かすなんて言われたりもして(今では信じている人はほとんどいないかもしれませんが)、良くないものの代表かもしれません。
もちろん骨は溶けませんし、身長に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。
ほとんどと書いたのはリン酸化合物という食品添加物が身体に良いものではなく、カルシウムと結びつくことによって骨をもろくしてしまうと言われているからですが、もちろんすぐに悪影響が出てくるというものでもありません。
むしろここで良くないと言いたいのは満腹感から食事が減ってしまうことです。
栄養バランスと絶対的な食事量は身長を伸ばすことに関係してくることは前述の通りです。
そういう点でもう一つ、よく話題に出る牛乳。
牛乳はカルシウムを摂取できることから給食にも出てくるくらい、むしろ身長を伸ばすと言えばこれ!とも言えるくらいの飲み物。
もちろん、カルシウム摂取という点では素晴らしい飲み物なんですが、こちらのデータを見ていただきたいと思います。
新潟県三条市という自治体では平成27年度から給食時に牛乳を提供せず、別途『ドリンクタイム』という時間を設け、その時に牛乳を提供する取り組みを行っています。
米の生産量全国1位の新潟県で、完全米飯の給食に牛乳は合わないという名目で始められたものですが、それだけではない効果が表れているのです。ご覧の通り、小中学校共にほとんどの献立において残食率が減少しており、平均でも、
- 小学校:4.7%→3.3%
- 中学校:5.3%→4.6%
と食べ残しが減っているということなのです。
つまり、これまで『牛乳を飲むことの満腹感から食べ切れなかった給食を完食できるようになった!』という結果になったわけです。
給食といえば栄養のバランスを考えた献立になっているので、それを牛乳の満腹感によって食べられないということになってしまっては本末転倒ですよね。
牛乳が「必ずしも良いことばかりではない」ということなんですね!
身長を伸ばすために栄養バランスを考える
以上、身長を伸ばす、伸びないという事象には様々な要因が絡むことがわかっており、迷信じみたことには根拠がないものも多いということが分かって頂けたかと思います。
では、これから出来ることはなんなのでしょうか。
それはやはり身長を伸ばすことに良いとされている『環境を整える』ということ。
その中でも【良質な睡眠】【適度な運動】は正に成長していく子供達が出来ることではありますが、特に親御さんが出来ることは【食事量と栄養バランス】を考えることではないでしょうか。
こと栄養に関しては先程も述べましたように、サプリメントを活用する家庭やスポーツチームも増えているようです。
ただし、子供にとってお菓子やジュース感覚になりかねないサプリメントもあります。そのようなサプリメントには添加物として人工甘味料や糖分など、栄養素ではないものが入っているので、気を付けてください。
良質なサプリメントも上手く活用しつつ、子供の成長を促していけると良いですね。